広告代理店の手数料相場|選ぶポイントは提供価値に見合う価格か否か

広告代理店の手数料相場|選ぶポイントは提供価値に見合う価格か否か

自社商品の広告を出そうと決めたものの、
「どの広告代理店に依頼すればいいのか分からない」「料金だけで選んでいいの?」
と迷ってしまう人は少なくありません。

実際、広告代理店の手数料は広告費の20〜30%程度が相場と言われていますが、その算出方法や含まれる内容は代理店ごとに異なるため、単純な比較では判断が難しいのが実情です。

本記事では、広告代理店の手数料の仕組みや相場の考え方を解説するとともに、金額に見合った外注先を見極めるためのポイントも紹介します。

目次

広告代理店の費用構成|何にどれだけ費用がかかる?

まずは、広告代理店に依頼する際に、どのような費用が発生するのかを整理しておきましょう。
細かい内訳は代理店や媒体によって異なりますが、大きく分けると以下の2つに分類されます。

・広告を出すための費用(広告費 + 運用手数料)
・広告を作るための費用(クリエイティブ制作費)

なお、この記事では主にWeb広告を前提として解説します。
Web広告はテレビ広告などと比べてコストを抑えやすく、データ分析による改善も可能なため、
初心者でも始めやすい媒体として近年主流になりつつあります

広告の出稿と運用の意味

ここでは、Google広告を例に「広告出稿」と「運用」の違いについて説明します。

Google広告では、誰でも無料でアカウントを開設し、広告を出稿することが可能です。
しかし、広告を出しただけで終わりではなく、出稿後は成果を最大化するために効果検証や改善を繰り返す必要があります。

こうした「出稿 → 分析 → 改善」の一連の流れを 広告運用 と呼びます。

広告を出すための費用|広告費と運用手数料の違いとは

Web広告を出す際には、主に2つの費用が発生します。

・広告媒体(例:Google)に支払う「広告費」
・広告代理店(例:株式会社ブレイク)に支払う「運用手数料」

Google広告は自力でも運用できますが、効果を上げるためには専門的な知識や継続的な改善が求められます。そこで、多くの企業が広告代理店に運用を委託し、その対価として運用手数料を支払います。

代理店に外注するすべての費用をまとめて「広告費」と表現するケースもありますが、本記事では以下のように区別して扱います。

・広告媒体に支払う費用 → 広告費
・広告代理店に支払う費用 → 運用手数料

広告を作るための費用|クリエイティブ制作費とは?

広告を出稿するには、そもそも 広告そのものを制作しなければなりません。
そのために以下のような工程が発生します

・競合や市場のリサーチ
・ターゲットの設定と訴求内容の設計
・キャッチコピー・デザインの作成 など

これらを広告代理店が一括で対応する場合もあれば、制作のみ外部の制作会社に委託することもあります。このような制作にかかる費用を、クリエイティブ制作費と呼び、広告出稿とは別に必要になる点に注意が必要です。

代理店の手数料と相場|運用手数料の報酬形態

広告代理店の運用手数料にはさまざまな報酬形態があります。

まずはその代表的な形を理解し、費用の考え方を整理していきましょう。

運用手数料の種類|代理店によって異なる報酬形態

運用手数料の報酬形態は大きく分けて以下の3つです。

報酬形態概要
固定型一定額を毎月支払う形式。広告費の多寡に関わらず金額は変わりません。
成果報酬型問い合わせ数や売上などの成果に応じて報酬が決まる形式です。
コミッション型広告費の一定割合(例:20%)を手数料として支払う形式。

最も一般的なものはコミッション型です。広告費の値段に応じて手数料も上がっていくので注意しましょう。固定型は広告費が少額な場合に適用されるケースが多い形態です。広告費の金額に関係なく固定ですが、その分、手数料率としては高めに設定される傾向があります。

マーケティング担当者が知っておくべき手数料相場の実態

手数料の相場を検索すると、概ねどのサイトでも20〜30%と記載されています。

これは上記の報酬形態のうち、コミッション型のことを指しています。コミッション型は採用している代理店が多く、どの代理店も慣習的に20%程度に設定されていることが多いのです。

成果報酬型は商品価格の数%が相場です。一見、魅力的に思える成果報酬型ですが、代理店としてはスケールしにくいため、採用しているケースが少ない傾向にあります。

また、商材によっては成約1件でいくらと決められる場合もあります。

例)1個3,000円の商品に対し、1件販売ごとに5%の成果報酬で手数料を計算する場合

→1件で150円。100件販売で15,000円が手数料。

固定型は月間の広告費の額に応じた変動はありません。ただし、作業量などに応じて段階的に設定されている場合もあることは知っておくとよいでしょう。代理店によって額は異なりますが、最低で月数万円~という代理店が多いです。

コミッション型手数料の決まり方|ネットとグロスの違いに注意

多くの代理店で採用されているコミッション型手数料ですが、同じ広告費の20%程度と言っても金額に違いが出ることがあります。この章では、コミッション型手数料がどのように算出されるのか、そのロジックを説明します。

知らないと損する!広告代理店費用を意味するネットとグロスとは

広告代理店の費用にはネットとグロスという言葉があります。いずれも広告代理店に支払う費用のことを指しますが、異なるものを指しています。また、マージンという言葉もあります。

名称意味
ネット手数料を含まない費用のこと。
媒体に支払う”広告費”と理解することで差し支えない。
マージン広告代理店に支払う手数料のこと。
グロス手数料を含む合計の費用のこと。

つまり、ネット+マージン=グロスと理解すればわかりやすいです。

コミッション手数料に直結する計算方式!外掛けと内掛けとは

コミッション手数料は広告費の一定割合として計算されると説明しました。実はこの計算方式にも種類があり、値段に変動を及ぼします。計算方式には外掛けと内掛けの2つがあります。

計算方式意味
外掛けグロスに対して手数料率を掛け算する方式。
内掛けネットに対して手数料率を掛け算する方式

内掛けは言葉の通り、広告費の20%のように、一定割合を手数料とする方式なのでイメージがつきやすいでしょう。対する外掛けは広告代理店に支払う費用全体のうち、どのくらい手数料がかかるのかを計算する方式とも言い換えられます。

ケーススタディ|広告費100万円と言われたら?

ここまで説明した内容について、ケースを用いて整理してみましょう。

前提条件:
・広告費 100万円
・運用手数料広告費の20%


ケース①:広告費=グロスを意味する、計算方式外掛けの場合

マージン=100万円×20%=20万円。支払い総額は100万円。

グロスは手数料も含む金額でした。そのため支払い総額は100万円。
手数料は外掛けなので、グロスに対してかかります。
100万円の内、20%が手数料ということになります。


ケース②:広告費=グロス、計算方式内掛けの場合

1.2×ネット=100万円⇔ネット=83.3万円、マージン=16.7万円、支払総額は100万円。

ケース①と同じく、グロスなので支払い総額は100万円です。
ただし、今回は内掛けなので、ネットに対して20%のマージンがかかっています。
ネットに20%分の手数料が加わるので、ネットの1.2倍がグロスになるという仕組みです。


ケース③:広告費=ネット、計算方式内掛けの場合

マージン=100万円×0.2=20万円。支払総額は120万円。

内掛けということは、ネットに対し20%の手数料がかかる計算です。
手数料の額はケース①と同じ20万円ですが、その分支払い総額は高くなり120万円となります。


ケース④:広告費=ネット、計算方式外掛けの場合

100万円+0.2×グロス=グロス⇔0.8グロス=100万円⇔グロス=125万円、

マージン=125万円-100万円=25万円

特殊な事例ですが、広告費がネットで示され計算方式が外掛けの場合も計算してみましょう。
計算方式が外掛けなのでグロスに対して手数料がかけられます。
今回の事例ではネットで広告費が示されているので、まずはグロスを計算しました。

マージンはグロスの0.2倍なので、それを100万円のネットと足すとグロスになります。
計算するとグロスが125万円、そのうちマージンは25万円ということがわかりました。


以上の結果を表にまとめてみました。

グロスで掲示ネットで掲示
外掛けケース①
マージン:20万円
支払総額:100万円
ケース④
マージン:25万円
支払総額:125万円
内掛けケース②
マージン:16.7万円
支払総額:100万円
ケース③
マージン:20万円
支払総額:120万円

同じ“広告費20%”という手数料率でも、定義や計算方式の違いによって手数料額・実際の支払額に差が出ることが分かります。

同じネットでも外掛けなのか内掛けなのかでも値段が変わります。また、グロスでは計算方式によらず支払総額は同じですが、その分、広告費としてかけられる費用が異なっている点には注意が必要です。

広告代理店の提供価値|業務内容から理解する広告代理店の専門性

広告運用の手数料がどのように決まるかを理解するには、広告代理店がどんな業務を行っているかを知ることが大切です。

この章では、広告代理店の主な業務内容と、それに対して発生する「手数料の意味」を解説します。

広告代理店が行う広告出稿

広告代理店は単に広告を出稿するだけではありません。成果を出すために、以下のような複数の工程をプロの視点で行っています。

リサーチ|戦略の土台を作るために

まず行うのは、徹底したリサーチです。競合他社と自社商品の違いの洗い出しや、どの層をターゲットにするかの見極めのため、ニーズや市場動向などを多角的に調査します。

このリサーチが甘いと、せっかくの広告も適切な相手に届かず、効果が十分に発揮できなくなってしまいます。

広告文の作成|クリックされる第一歩

次に、重要なのが広告文の作成です。特にWeb広告では、検索画面に表示される見出しや説明文が、ユーザーの関心を引くきっかけになります。

魅力的な広告文を書くには、ユーザー心理や媒体の特性を理解し、限られた文字数で興味を引く技術が必要です。経験やセンスが問われる、まさにプロの腕の見せ所といえます。

出稿・分析・改善|成果を伸ばす継続的な運用

広告の出稿作業自体は、操作に慣れれば誰でも可能です。しかし、表示される検索キーワードの設定や、広告費を抑えつつ成果を最大化する配信設計は、専門的な知識と経験が不可欠です。

広告出稿後は、クリック数やCV(コンバージョン)数、費用対効果を分析し、成果が出ていない場合は原因を特定して改善策を実施します。この「出稿→分析→改善」のサイクルを継続的に回していくことが、広告運用の要となります。

運用手数料は専門性に対する報酬

ここまでの流れを見てきたように、広告を出すにはリサーチから分析・改善に至るまで、専門的なスキルが必要です。運用手数料とは、広告代理店が持つこうした知見や経験に対して支払われる報酬です。

「代理店にお願いすると高くつく」と思われることもありますが、素人が自己流で広告を運用して費用対効果が悪くなるケースも少なくありません。
むしろ、限られた予算で成果を最大化するためには、プロの力を借りることが費用対効果の高い選択となるのです。

以下の記事では広告代理店の業務についてより詳しく記載されています。
業務内容に興味のある方はこちらもご覧ください。

失敗しない広告代理店選び|価格に見合う価値を考える

広告代理店を選ぶ際に、価格を最優先に選んでしまうことはありませんか。

もちろん予算は大事ですが、価格だけで判断してしまうと、あとから「思っていたのと違った…」と後悔することも少なくありません。

だからこそ、「この金額で、どれだけのことをしてくれるのか?」という“提供価値”に目を向けることが、金額以上に重要な指標となります。

価格よりも重視したい|広告代理店の“伴走力”

広告代理店の役割はこれまで説明してきた通り、単なる作業代行ではなく成果を出すために、クライアントの立場になって一緒に考え、実行し、改善していくことです。

そのためには、発注側の意図を汲み取り、適切な提案や細やかな情報共有をしてくれる“伴走力”が求められます。

後悔しないためのチェックポイント

ここでは、広告代理店を選ぶときに確認しておきたいポイントを紹介します。

1.担当者のレスポンスは早いか?
連絡のスムーズさは、広告のスピーディな改善に直結します。

2.情報共有をきちんとしてくれるか?
「今どんな運用をしているか」「何がうまくいっていないか」が共有されないと、信頼関係は築けません。

3.こちらの目的や背景を汲み取った提案をしてくれるか?
単に「広告を出す」ではなく、「なぜそれをやるのか」まで理解した上で提案できる代理店は信頼できます。

4.実績や事例を開示してくれるか?
他の案件でどんな成果を出してきたのかを見ることで、対応力のイメージがつかめます。

5.「やめどき」の判断も相談できるか?
必要がなくなったときや方向転換をしたいときに、無理に引き留めず一緒に判断できる相手かどうかも重要となります。

価格が安いかどうかだけでなく、「この人と一緒にやっていけそうか」「信頼して任せられるか」といった視点で見ると、納得のいくパートナーが見つかりやすくなります。

以下の記事は、広告代理店選びについてのポイントや代理店の規模、具体的な代理店の紹介など、詳しく記載されています。こちらもご覧ください。

広告代理店の手数料が高いと感じたら?|外注と内製化の費用を比較

広告代理店の手数料が、依頼内容に見合っているとしても、継続的にコストがかかるとやはり高いと感じることがあるでしょう。そんな時は、内製化も検討すべきです。

内製化すれば高額に感じられる手数料を払う必要がなくなります。

Webマーケティングスクールで広告運用スキルを身に付けよう

ここまで説明してきたように、広告代理店には専門的なスキルがあります。これらのスキルは、Webマーケティングスクールに通うことで初心者からでも習得することが可能です。

ここでは弊社の法人向け講座をご紹介します。

Break Marketing Program(BMP)法人向け講座のご紹介

BMPは実践型の課題をベースに短期間でWebマーケティングのスキル習得を目指すWebマーケティングスクールです。法人向けのマーケティング講座も実施しています。

社内のWebマーケティング担当者に必須となる、広告運用も含めたWebマーケティングのスキルを、最短3か月で体系的に習得することが可能です。

スクールに要する時間と費用

スクールにかかる費用や時間はスクールによって変わります。例えばBMPの場合は以下の表のとおり、18週間のコースで約50万円です。業務と両立しながら3か月〜半年で受講が完了します。

一方、広告代理店の手数料は先の章で計算した通り、広告費が100万円だとすると20万円前後かかります。つまり3か月で60万円かかることになります。広告を掲載し続ける以上、この手数料はかかり続けます。

内製外注
(広告費100万円×手数料20%)
3か月(累積)約50万円(受講完了)約60万円
6か月(累積)受講完了済み約120万円
12か月(累積)受講完了済み約240万円

スクールを受講して内製化が成功すれば、外注による手数料分を大きく抑えることができることが上記の表からわかります。

広告代理店は便利ですが、上手く利用しつつ内製化を図っていくことが重要です。

まとめ

ここまで、広告代理店の手数料について、相場や仕組み、提供価値、そして選び方や内製化の考え方について紹介してきました。最後に要点を整理します。

・広告代理店の手数料には複数の報酬形態がある
・コミッション型の場合、手数料の相場は広告費の20%前後
・同じ料率でも、計算方法によって金額に差が出ることがある
・広告代理店の仕事には高い専門性が必要であり、手数料はその対価
・金額だけでなく、提供される“価値”を基準に代理店を選ぶのが重要
・長期的には、代理店の力を借りつつ、内製化も視野に入れるのが賢明

広告の効果を最大限にするためには、信頼できるパートナー選びが欠かせません。「今の自分たちにとってベストな手段は何か?」を考えながら、外注と内製のバランスをとっていきましょう。

広告運用を学ぶべき!と感じた方はこちら↓↓