【EC担当者向け】コンバージョン率とは?平均と改善策を解説

アクセスはあるのに、なぜか売上が伸びない。
その原因、もしかすると「コンバージョン率(CVR)」の低さにあるのかもしれません。
CVRはECサイトの成果を左右する重要な指標で、たった1%の改善でも売上に直結する大きなインパクトをもたらします。
本記事では、CVRの基本知識から改善策、活用ツールまでをわかりやすく解説。
自社ECサイトのCVRを見直したい方、売上アップに向けた改善策に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
ECサイトのコンバージョン率とは?
ECサイトの売上は、次のシンプルな計算式で表されます。
売上 = アクセス数 × 購入率 × 客単価
たとえば、月間1万アクセス、購入率が1%、客単価が5,000円の場合、売上は50万円です。
もし購入率が2%に上がれば、アクセス数は変わらなくても売上は100万円になります。
このように、売上を伸ばすには「購入率」の改善が大きなポイントになります。
CVRの定義と計算方法
ここでいう「購入率」とは、ECサイトを訪れた人のうち、実際に購入に至った割合のことです。この購入率をWebマーケティング用語で「コンバージョン率(CVR)」と呼びます。
CVRは、「購入者数 ÷ 訪問者数 × 100」で計算され、パーセントで表されます。
たとえば、1,000人が訪れて10人が購入した場合、
CVRは「10(購入者数)÷1000(訪問者数)×100」=1%です。
CVRが重要な理由
アクセスが多くても売上が伸び悩むなら、CVRが低い可能性があります。
アクセス数を増やす施策ももちろん大事ですが、まずはCVRの改善に注目することで、より効率的に売上アップが狙えます。
ECサイトの売上を伸ばすための全体像を考えたい方はまずはこちらから
ECサイトの売上を伸ばすには?初心者でもできるWebマーケティング施策
コンバージョン率の平均と業界別の目安

日本のEC市場は年々拡大しており、2023年(令和5年)のBtoC-EC市場は24.8兆円、BtoB-EC市場は465.2兆円に達しています(経済産業省電子商取引に関する市場調査より)。この巨大な市場の中で、CVRの改善は売上に直結する重要なカギです。
国内外のCVR平均
では実際に、CVRはどれくらいが一般的なのでしょうか。
一般的に、日本のECサイトではCVRが1~2%前後が目安とされています。一方、アメリカの上位ECサイトでは平均2.7%というデータもあり、サイトの使いやすさや顧客体験(UI/UX)やマーケティングの違いが影響していると考えられます(Digital Commerce 360調査より)。
一見すると「1〜3%」という数値は低く感じるかもしれませんが、ECサイトにおけるCVRは「購入」という明確な行動が基準です。そのため、商品選び・カート投入・決済完了など、多くのステップをクリアする必要があり、決して簡単な数字ではありません。
CVRの商材別目安
業界や商材によってCVRには大きな差があります。以下は、Adobe社の調査をもとにした商材ジャンル別の平均CVRの参考値です。
・ギフト:4.9%
・健康・医薬品:4.9%
・アパレル:4.2%
・スポーツ用品:3.1%
・ジュエリー・化粧品:2.9%
・インテリア・大手チェーン:2.3%
・自動車:2.2%
・日用品:1.7%
・家電:1.4%
アメリカのマーケティング会社WordStreamの調査では、EC業界のCVR中央値は約1.84%とされています。目標値としては、自社の商材カテゴリに近い業界の平均値をベンチマークにすると良いでしょう。
比較時の注意点

CVRは、集客の方法やユーザー層、サイト構造によっても変動します。たとえば広告経由でアクセス数が増えると、一時的にCVRが下がることもありますが、それ自体は悪いことではありません。
大切なのは、他の指標(直帰率、カゴ落ち率など)と合わせてバランスよく分析することです。単に数値だけを見るのではなく、全体のユーザー行動を把握する視点が求められます。
あなたのECサイトは大丈夫? 今すぐできるセルフ診断
CVRが伸びないと感じたら、まずはサイト内の「見落としがちな落とし穴」をチェックしてみましょう。ちょっとした改善で結果が変わることも多いです。
CVR低下のよくある原因と改善策
以下のチェックリストに当てはまるものがあれば、それぞれの改善策を参考に、すぐに対応してみましょう。
チェックリスト&改善ポイント
チェックリスト | 改善ポイント |
ベネフィットが伝わっていない | 商品冒頭に「誰に・どんなメリットがあるか」を明記する |
商品画像が少ない/使い方が不明 | 使用シーン・サイズ比較・動画を追加して、購入後のイメージを補完 |
入力項目が多すぎる | 必須項目は最小限に絞る。住所や電話番号の再確認を |
スマホで見づらい/使いにくい | モバイルファーストで設計を見直し、タップしやすさや文字サイズを調整 |
広告とLPの内容がちぐはぐ | SNSや広告とLPの訴求内容に一貫性を持たせる |
各セクションに、より具体的な改善策をまとめています。
上記のチェックリストで気になる点があれば、ぜひ読み進めて改善のヒントに役立ててください。
コンバージョン率改善の基本施策【導線・UI編】
スムーズな導線とストレスのない操作性(UI)は、CVRを大きく左右します。ここでは、初心者でもすぐに実践できる「導線・UI改善」の基本を紹介します。
ユーザーを惹きつける商品情報の見せ方
購入の決め手は、「どれだけ信頼できるか・自分に合いそうか」。その印象を左右するのが、商品情報の設計です。
ポイントは以下の3つ
ターゲットを明確にする
年齢・性別・ライフスタイル・悩みを具体的にイメージ。
競合との差別化
キャッチコピーや導線設計を比較し、自社商品の強みを明確に。
画像とレビューの力を借りる
高品質な写真やリアルなレビューが、購入の後押しになります。
4P分析のフレームワークを使って自社商品の特徴を際立たせたい方はこちらの記事もチェック
【初心者向け】マーケティング4Pとは?意味・具体例・戦略まで完全解説
入力フォーム改善で離脱を防ぐコツ
フォームの煩雑さは、離脱の大きな原因に。スムーズな購入体験のために、EFO(入力フォーム最適化)による入力フォームの改善を行いましょう。
基本の見直しポイント
・入力項目は本当に必要なものだけに
・必須項目の明示・入力例の表示で迷わせない
・外部リンクの排除・完了画面で安心感を
+αの工夫
・郵便番号での自動入力
・電話番号の自動ハイフン
・スマホ向けキーボード設定(数字のみなど)
EFOツールの活用で「どこで離脱が起きているか」の分析も可能です。
スマホ最適化とUI改善の基本

今やモバイルファーストが常識。モバイルユーザーにとっての“ちょっとした使いやすさ”が、CVを左右します。
・タップしやすいボタン配置(サイズ60px以上、親指で押せる位置)
・検索のしやすさ(2タップ以内で商品一覧にたどり着ける)
・カートボタンの固定表示で購入タイミングを逃さない
「見やすく・押しやすく・探しやすい」。これだけで離脱はぐっと減ります。
商品ページで差がつく改善テク
商品ページは、「買いたい気持ち」の決め手となる場所。画像・説明・導線の設計で、コンバージョン率は劇的に変わります。
画像・説明・レビューで「買いたい」を引き出す方法
魅力的な商品ページとは、「視覚・文章・ユーザーの声」が一貫して伝わるページのこと。
・画像は清潔感+使用シーンを意識
・説明文は過不足なく、画像と矛盾のない内容に
・レビューはリアルな声+写真つきだとより効果的
一つひとつがバラバラではなく、ストーリーとしてつながる設計が重要です。
迷わせない導線+レコメンドで購買を後押し
せっかく商品に興味を持ってもらっても、導線がわかりにくいと、購入は見送りに。商品ページでは「次にどうすればいいか」が一目でわかる設計が大切です。
✅ 「カートに入れる」などのボタンは、見やすく・目立つ位置に配置する
✅ 購入までの動線はシンプルに、迷わせない構成にする
✅ 関連商品や人気ランキングの表示で、比較検討や追加購入を後押しする
✅ 閲覧履歴や購入履歴をもとにしたレコメンド表示で、ユーザーの興味を広げる
✅ 次に取るべきアクションが直感的にわかるよう、視線の流れを意識する
LPのCVR改善で困っている担当者はこちらも必見
【保存版】LPのCVRを改善!今すぐできる具体策5選|成功事例と担当者必見スキルも
中上級向けコンバージョン率改善施策

中上級向けのCVR施策では、「誰に・どうアプローチするか」が重要です。購買意欲の高い層を集め、再訪や購入を後押しする施策を紹介します。
集客チャネルの最適化によるCVR改善
集客数よりも「質」がCVR改善のカギ。広告・SNS・メルマガなどチャネルごとの特性を活かし、自社に最適なものを選定・強化することが重要です。
主なチャネルの特徴
・有料:リスティング・リマーケティング広告は購入意欲が高い層に◎。SNSやディスプレイ広告はターゲットによって使い分けを。
・無料:SEO・SNS運用・メルマガなど、中長期で効く育成型チャネルもCVRに貢献。
SNS連携による再訪促進
SNSはユーザーとの継続的な接点を生み、再訪を促進する力があります。とはいえ、SNSごとに得意なアプローチやユーザー層はさまざま。目的に合ったSNSを選び、定期的な投稿でブランド接触を維持しましょう。
主なSNSの特徴比較表
SNS | ユーザー数 | 主な層・特徴 | アプローチ方法 |
約6,600万人 | 10~20代女性中心。視覚でブランド想起を促進 | 商品写真、使用シーン投稿など | |
X(旧Twitter) | 約6700万人 | 10~30代の若年層中心。速報性・話題拡散力あり | セール告知、再入荷のお知らせ |
約2,600万人 | 30代〜。信頼性ある情報で再関心を喚起 | 商品詳細・レビュー投稿 | |
TikTok | 約2,700万人 | Z世代中心。動画で話題化し検索を誘導 | 製品の使い方・裏ワザ紹介など |
LINE | 約9,700万人 | 全世代。通知で直接再訪を促進 | カゴ落ち通知、限定クーポン配布 |
YouTube | 約7,120万人 | 全世代。長期接点・ストーリー性の訴求に強み | How-to、商品レビュー、定期配信など |
カゴ落ち対策
購入直前の離脱(カゴ落ち)を減らすには、心理的ハードルを下げ、再アプローチを設計することがポイントです。
主な対策
- 費用・条件を明示して「不安要素」を排除
- 会員登録不要・入力項目削減でストレス軽減
- セキュリティ表示で信頼性をアップ
- カゴ落ちリマインドメールや再訪時の表示で再接触を促進
- サイト表示速度やUIを定期的に見直し
ツール活用も有効
決済手段の多様化

スマホへのシフトや世代の多様化に対応し、「選べること」がCVR向上に直結します。
対応したい主要決済
・クレジットカード(定番)
・PayPay・楽天ペイなどのID決済(若年層向け)
・Apple Pay・Google Pay(スマホ対応)
・後払い(初回・高単価商材に効果的)
・コンビニ・銀行振込(年配・法人ニーズ)
・Amazon Payなどのワンタップ決済(UX向上)
世代別ニーズ
・10〜30代:スピード重視。ID決済・後払い◎
・40〜50代:安定性&特典重視。クレジットカードが主軸
・60代以上:安心感を重視。コンビニ・銀行振込が根強い
海外対応なら PayPal・Alipayなどグローバル決済の導入も検討を。
コンバージョン率改善に効くツールと成功のヒント集
CVRを改善するには、ユーザーの行動を把握し、具体的な改善アクションへつなげることが重要です。ここでは、分析や改善に役立つツールと、導入時の注意点をご紹介します。
また、ツールとは別にアイディアで成果につながった成功のヒントもあわせてご紹介します。
分析・改善実行・UI系ツール
「見た目はいいのに売れない」「どこでユーザーが離脱しているのかわからない」
そんな悩みは、ユーザー行動を可視化できる分析ツールで解決できます。
・Googleアナリティクス4(GA4)
初心者から中級者まで幅広く対応。ファネル分析やイベントトラッキング、購入経路の把握が可能です。CVR全体の傾向を掴むのに最適です。
・Microsoft Clarity(マイクロソフトクラリティ)
クリック箇所や離脱ポイントをヒートマップやセッション録画で視覚的に分析できます。
・KARTE(カルテ)
・Flipdesk(フリップデスク)
以下に代表的なものをいくつか紹介します。
・NaviPlusレコメンド
・SENSY
- 担当者が異動・退職し、誰も使わなくなった
- 上司が変わり、予算がカットされた
- 解約条件を確認しておらず、更新タイミングを逃した
こうしたリスクを避けるためにも、導入時に「解約手続き」や「契約条件」をしっかり確認することが重要です。特に海外ツールは、更新タイミングにシビアなものもあるため注意が必要です。
CV率改善につながった、実践アイデア4選
数字ばかり見ていると、アイデアが出てこなくなることも。
そんなときは、“画面越しの誰か”を思い浮かべてみるのがヒントになるかもしれません。
ここでは、実際にCVR改善につながった工夫を4つご紹介します。
社内人材育成のすすめ
「ツールを入れても、使いこなす人がいない…」
そんな声に応えるのが、BMPの『法人向けWebマーケター人材養成講座』です。
・EC業務と両立できる実践型カリキュラム
・自社ECの案件持ち込みOK
・助成金活用で最大75%還元
座学だけで終わらない、現場視点のカリキュラムで、育てたい人材を“本物の戦力”に変える。未経験からECの成果につながる人材育成を目指す企業さまにこそ、選ばれています。
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まとめ|コンバージョン率改善の鍵は“検証力”と“人材”
ECサイトの売上アップを目指すうえで、コンバージョン率(CVR)の改善は欠かせない施策です。CVRは、アクセス数を増やすよりも効率的に成果につなげやすく、ちょっとした改善でも売上に大きな影響を与える可能性があります。
まずは自社のCVRを把握し、業界平均や競合と比較してみましょう。原因を見極めたうえで、商品ページやUI、入力フォームなどの基本施策から着実に取り組むことが大切です。さらに、集客チャネルの見直しやSNSとの連携、カゴ落ち対策など、より高度な取り組みも、フェーズに応じて導入していくと効果的です。
そして何より、CVR改善には「検証力」と「人材」の両輪が必要です。仮説を立てて実行し、効果を検証するサイクルをまわし続けること。そこに取り組めるチームやスキルを育てることが、長期的な成果に直結します。
できるところから、少しずつ。自社ECの可能性を広げる第一歩を、今日から始めてみましょう。
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